不惑のアダージョ

人生の、秋 ――。わたしは、それをひとりで迎える。

紅葉が深まる晩秋の街、小さな教会から賛美歌が聴こえる。参列する人々、そのなかにオルガンを弾くひとりの修道女、真梨子。若き日に神職に身を捧げ、規律に従い、彼女は穏やかに生きてきた。

40歳を迎えた彼女は、誰にもいえない“からだ”の変化を抱えていた。それは、人よりも早く訪れようとしている、更年期。結婚や出産、家族…それまで一線を引いていた会話が耳に入ってくる。はじめて感じる、心の揺らぎに、戸惑いを覚える日々を過ごしていた。

ある日、神父に呼ばれ、村岡という男性に手紙を渡すように頼まれる。家族との確執を持つ息子へ、入院中の母親から託された手紙。真梨子は手紙を渡しにいくが、村岡は一切受け取ろうとしない。その村岡の元へ通う真梨子の後ろを、尾行する男性がいた。最近教会に通い始めた、真梨子と同じ歳の、立本である。彼は真梨子に相談を持ちかけるが、真梨子は立本に不信を抱いていた。

そんななか、教会に通う女性からバレエ教室のピアニストを頼まれる。日々の鬱屈から抜け出すように、バレエ教室へ足を運ぶ真梨子。そこには、日々訓練する、清らかなバレエダンサーたちの姿があった。自らの世界と似た厳粛さを感じ、真梨子はピアニストを引き受ける。

教室へ通うなか、次第に演奏する“楽しさ”を見出していく真梨子。静かな彼女の日常のなかに、音楽がうまれ、いつしかそこには、ひとりの男性ダンサーを見つめている自分がいた。

異なる男性と出会い、彼女は40歳にして変化を迎えていく――。

© 2009 Autumn Adagio Film Committee